心の亀裂――人の葛藤につけ込む夢神の『赤い目』。
彼女の居所は未だ解らず、直人の罰も激しさを増すばかりで、人の悪夢に誘われる余地すら与えられなかった。
そうなると必然的に直人の傍を離れられない綾乃。
動けるのは正宗と棗の二人。ツグミの仇を討ちたい正宗は単独行動に出る。
そうして何もできずにいる内に、棗の曾祖父が目を覚まさなくなる。病院に駆けつければ、沢山の人が昏睡状態に陥っていた。
飯見町に住む人たちが、夢神に魂を食われている。
棗が見た夢、それは夕日で真っ赤に染まる学校のグラウンドに、一人の少女が佇むものだった。
否、血で真っ赤に染まったグラウンドに佇む『赤い目』であった。
この悪夢の親は一体誰か? 人づてに必死になって聞き回る直人と綾乃。
町に住む殆どの人が同じ夢を見ている、そんな絶望的な状況が知れただけであったが、それぞれの情報には差異があった。
一方、夢神について説明を受けた虹子と水穂は、眠って悪夢の中を偵察するという危険な賭けに出る。
だが、睡眠薬を使ったばかりに、悪夢からすぐに覚醒できず危機に陥る虹子。
そんな虹子を救ったのは、電車帰りでうたた寝をして悪夢に現れた棗であった。
彼女は何故か、悪夢の中だというのに現実世界と同じように動き回っていて……――。
モーフィアスの鍵を持つ、扉の民の番人――直人。
夢神の王女――綾乃。
『赤い目』を倒すことができれば、直人の罰は許され、綾乃は元の世界に帰る。
それは二人にとって、本当に良いことなのだろうか?
直人が好きな――棗。好きな相手と親友に挟まれ。
ただツグミの仇を取りたい――正宗。
それぞれの想いを胸に、四人は最後の戦いに身を投じる!
文章は三人称です。シーン毎にキャラクター寄りの描写に変わるのが特徴です。
一人称や、視点の固定された三人称よりもキャラクターの内面が楽しめます。
ただその反面、例えば直人と綾乃のお互いの気持ちが読者に筒抜けなので、とても不毛なやり取りに見えてしまったのがマイナスです。
少しでも進展すれば読み甲斐もありますが、既に答が出ているような状態でそこに至らない葛藤を見せられてもつまらないものです。
内容については、全体的な流れはまあまあとして、超展開に感じるシーンや、細かい点など、目をつぶるには問題があるツッコミどころが沢山ありました。
キャラクターについても、四冊のストーリーに従って変化したかというと、物凄く中途半端な成長で終わっています。
正宗は前巻で登場したので、たった二週間程度では成長しようもありませんが、そういった点も踏まえて打ち切り感が否めません。
まさか四冊で終わるとは思っていなかったので拍子抜けでしたが、細かいところはさておき、ガツガツ読めた分には楽しめたのかもしれません。
終始、登場人物に魅力が全く無い、というのは残念でなりませんでした。
属性:多少は良い意味でのご都合主義・こんなこともあろうかと!・実は強かったんだ!・食われたのに消化されないという不思議
2008年11月18日
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